今回も、いいお話でした。
信州のとある総合病院で、内科医として日々激務をこなす青年・イチさん。
イチさんを支える可憐な妻・写真家のハル。
シリーズを通して出てくるいつものメンバーは今回もとても魅力的。
私はハルがとても好き。純真で心の強い、すてきな女性です。
イチさんを一途に思っていて、花火のシーンやデジカメのシーンでは「何とかわいらしい人なんだろう」と感動しました。
真摯なんだよね。
それぞれが日々何かと戦ったりぶつかったりしていて、でも決してずるをしたり逃げたりしない。
人があたたかいんです。
患者を思い、友を思い、妻を思い、夫を思う。力になりたいと思う。
物語終盤、イチさんは大きな決断をします。イチさんを育ててくれた大狸先生(あだなです。)の送りかたがとても味があって、落涙。
でも、しんみりした話ではないんですよ。そこここに笑いがあって。死ぬほどインスタントコーヒーとさとうをいれた「砂山ブレンド」なるコーヒーがあるのです。イチさんは「砂山毒素」と呼ぶほどとんでもないしろもの。劇薬扱い。
「問題ない」が口癖の循環器科・自若先生も一口飲んで「これは…問題ある」とつぶやき、その後砂山ブレンドを見ると引く、っていうほどの。
そんな劇薬を「おいしい」っていう先生が現れた瞬間、わたし爆笑。ない、それはない!!イチさんも引きまくってました。
帯の書店員さんのコメントにもあったとおり、イチさんが大狸先生の歳になるまでシリーズが続いて欲しいと熱望。